食ったり飲んだり
帰って来た食の粋人「じん市」高橋一行さんの店
角館は歴史文化、河川交通の発達など地の利の背景もあって、食文化が発達したところである。季節のもの、珍味、新しい料理など好奇心旺盛に食を楽しんだ先人の粋は、今も、家庭にも見られる。
こんな角館の精神を受け継ぐ料理人のひとり、高橋一行さんが、銀座の店から角館に帰り店を構えた。
店の名前は「じん市」。祖父の名前に基づいて命名したそうだ。
一行さんは、先人への思いをときどき表現する。自分の思い出になぞらえたり、思い入れのある食べ物を突き詰めていったり…。「これからもっと(その食べ物と)深く付き合いたい」という。
「私と野菜の縁は、祖母との思い出から始まります。子供のころ、家から少し離れたところで祖母が趣味で畑をやっていて、早朝、毎日行っていました。私もときどき行きました。手伝うのが楽しくて。茄子、キュウリ、枝豆……。祖母が採って料理してくれたその味が、自分の中にインプットされ今も残っている。祖母のつくった採れたての野菜はとてもうまかった」。
特別な思いを持った、野菜の料理たち、いろんなカタチで楽しませてくれた。
じん市
秋田県仙北市角館町中町12
TEL0187-55-5970
営業時間/18:00〜22:00(ラストオーダー21:00)
定休日/日曜
※予約コースのみ。3,000円〜
秋田県仙北市角館町中町12
TEL0187-55-5970
営業時間/18:00〜22:00(ラストオーダー21:00)
定休日/日曜
※予約コースのみ。3,000円〜

豆乳のムースが青豆のスープに浮かんでいる。大豆特有の臭みがなく、マイルドな豆の旨味と滑らかな舌触りを堪能。

一行さんの料理の基本のひとつが上等な出汁をジュレにしたものに、うるいが入っている。彼流に言えば「おひたしのひとつのカタチ」。おひたしマジックも十八番。

ベビーリーフやルッコラなどの小さい葉、バルサミコの香るソース、上にのった海葡萄があっと言わせる、楽しいサラダ。

これも「おひたしのひとつのカタチ」。人の顔に見えるのは偶然の産物だそう。

普通のマスカルポーネを使ったティラミスを想像しながら口にするから、意外性が際立つデザートだった。豆乳の軽い風味に合わせて、スポンジケーキも豆乳を使っているそうだ。

野菜のやさしい旨味を引き立てる白ワイン、クラウデイ・ベイのシャルドネ。思い出すだけでうっとりする香りだ。
